「昨日あまり寝てないから、なんだか甘いものが食べたい……」
そんな経験はありませんか?
寝不足の日になると、
チョコレート
ケーキ
菓子パン
アイス
甘い飲み物
などに、いつも以上に手が伸びることがあります。
「疲れているから気のせいかな?」
と思うかもしれません。
でも、睡眠不足と食欲の関係は実際に研究されています。
ポイントは、寝不足になると単純にお腹が空くだけではなく、脳が高カロリーな食べ物を魅力的に感じやすくなることです。
今回は、なぜ寝不足になると甘いものが欲しくなりやすいのかを紹介します。
1. 寝不足になると食欲そのものが強くなることがある
まず起こりやすいのが、食欲の変化です。
睡眠時間を制限した研究をまとめたメタ分析では、通常の睡眠と比べて、睡眠を制限したときには主観的な空腹感が強くなり、1日の摂取カロリーも平均して増えていました。
つまり、
「寝ていないぶん疲れたから食べたい」
という気分だけではなく、睡眠不足そのものが食欲に影響する可能性があります。
2. 特に「高カロリーなもの」が魅力的に見えやすくなる
寝不足で変わるのは、食べる量だけではありません。
何を食べたくなるかにも変化が起こることがあります。
睡眠を十分に取ったときと徹夜したときを比較した研究では、睡眠不足のあとに高カロリー食品への欲求が強まりました。
同時に、食べ物を評価するときに関わる脳の領域の活動にも変化が確認されています。
つまり寝不足の日は、
サラダより菓子パン。
低カロリーのおやつよりチョコレート。
といったように、手軽に満足感を得やすい食べ物へ引かれやすくなることがあるのです。
3. 甘いものそのものを欲しやすくなる研究もある
「高カロリー」だけではなく、甘いものに注目した研究もあります。
健康な若年成人を対象に、
8時間睡眠した場合と、5時間に睡眠を制限した場合
を比較した研究では、睡眠を短くしたあとに甘味への好みが高くなったことが報告されています。
別の研究でも、眠気が強い人ほど高脂肪・高糖質食品への潜在的な欲求が高い傾向が確認されています。
そのため、
「寝不足の日だけ妙に甘いものが気になる」
という感覚にも、一定の研究的な裏付けがあります。
4. 脳が「すぐ満足できるもの」を選びやすくなる
寝不足になると、脳はいつもと同じ状態ではありません。
食べ物を見たとき、
「これは今食べるべき?」
「本当にお腹が空いている?」
と冷静に判断する働きと、
「おいしそう!」
「今すぐ食べたい!」
という欲求のバランスが変わることがあります。
睡眠不足の研究では、食べ物の価値を判断する前頭部や島皮質の活動が低下する一方、食べ物への反応に関わる扁桃体の活動が強まることが確認されています。
簡単に言えば、
寝不足になると「我慢する力が完全になくなる」というより、魅力的な食べ物をより魅力的に感じやすい状態になる
と考えると分かりやすいでしょう。
5. 「食欲ホルモンだけ」が原因とは限らない
寝不足と食欲について調べると、
「グレリンが増える」
「レプチンが減る」
という説明を見かけることがあります。
グレリンは食欲に関係するホルモンで、一部の実験では睡眠不足後にグレリンが増え、空腹感が強くなったことが報告されています。
ただし、すべての研究で同じ結果が出ているわけではありません。
複数のランダム化比較試験をまとめた研究では、睡眠不足によって空腹感や摂取カロリーは増える一方、レプチンやグレリンについては一貫した変化が確認されませんでした。
そのため、
「寝不足=ホルモンがこう変わるから甘いものが欲しくなる」
とひとつの原因だけで説明するより、
食欲
脳の報酬反応
食べ物の選び方
睡眠時間
など、いくつかの要因が関係していると考えるほうが正確です。
6. 「意志が弱い」だけではない
寝不足の日にお菓子を食べてしまうと、
「また我慢できなかった」
と思ってしまうことがあります。
でも、睡眠が足りない状態では、高カロリーな食べ物への欲求そのものが強くなる可能性があります。
実際、NIHも、睡眠制限によって食欲や高カロリー食品への欲求が強まる研究があることを紹介しています。
だからこそ、
甘いものを我慢することだけを考えるより、
そもそも睡眠不足を減らすこと
も食生活を整えるひとつの方法になります。
7. 寝不足の日は「食べない」より環境を変える
寝不足なのに、
「今日は絶対にお菓子を食べない!」
と気合いだけで耐えるのは大変です。
そんな日は、最初から少し環境を変えておく方法もあります。
たとえば、
- お菓子を机の上に置かない
- コンビニへ空腹状態で行かない
- 朝食や昼食を抜かない
- 水やお茶を手元に置いておく
- 食べるなら量を先に決めておく
などです。
寝不足で判断が鈍っていると感じる日は、
「誘惑に勝つ」より「誘惑に触れる回数を減らす」
という考え方のほうが続けやすいかもしれません。
8. 一番大切なのは、やっぱり睡眠
甘いものを減らしたいと考えると、
食事だけに注目しがちです。
でも睡眠も、食欲や食行動と無関係ではありません。
睡眠時間が短い成人を対象にしたランダム化試験では、睡眠時間を延ばすよう支援されたグループは、普段通り生活したグループより摂取カロリーが減りました。
もちろん、
「たくさん寝れば必ず甘いものを食べなくなる」
という意味ではありません。
それでも、
食生活を整えるなら、睡眠も一緒に見直す
という考え方は大切です。
まとめ|寝不足の日に甘いものが欲しくなるのには理由がある
寝不足になると、
ただ疲れるだけではありません。
研究では、
- 空腹感が強くなる
- 摂取カロリーが増える
- 高カロリー食品を欲しやすくなる
- 甘味への好みが高まることがある
- 食べ物に反応する脳の活動が変化する
といった現象が報告されています。
だから寝不足の日に、
「今日はやけにチョコが食べたいな」
と思ったら、
単なる気分だけではなく、睡眠不足によって脳や食欲の状態がいつもと少し変わっている可能性があります。
甘いものを我慢することだけではなく、
「昨日ちゃんと眠れたかな?」
と考えてみる。
それも、食生活を整えるためのひとつのヒントかもしれません。
睡眠についてもっと知りたい人におすすめの本
『睡眠こそ最強の解決策である』
「睡眠不足になると体や脳に何が起きるの?」
ということを、もう少し詳しく知りたい人には睡眠について扱った本もおすすめです。
食欲だけではなく、記憶や集中力、体調など、睡眠がさまざまな働きと関係していることを知るきっかけになります。
寝る環境を整えたい人には
遮光アイマスク
「寝ようと思っても部屋が明るい」
「朝早く光が入って目が覚めてしまう」
という人には、遮光タイプのアイマスクも選択肢のひとつです。
睡眠を整えるためには、寝る前の光環境も大切です。
寝る時間や起きる時間も含めて、自分が続けやすい環境を作ってみてください。



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