部屋に入った瞬間、
「何しに来たんだっけ?」
と忘れてしまうことはありませんか?
冷蔵庫の前まで来たのに、
何を取りに来たのか思い出せない。
別の部屋に移動した瞬間、
さっきまで考えていた用事が抜けてしまう。
そんな経験がある人は多いと思います。
これは、
ドアウェイ効果 と呼ばれることがあります。
ドアウェイ効果とは、
部屋を移動したり、場所が変わったりすることで、
直前の目的を思い出しにくくなる現象のことです。
忘れたのは、
ぼーっとしていたからとは限りません。
人の脳は、場所が変わると
「場面が切り替わった」と判断し、
直前の情報を前の場面のものとして整理することがあります。
その結果、
今の部屋に入った瞬間、
「何をしに来たんだっけ?」
となりやすくなるのです。
場所が変わると、脳は場面を区切る
人の脳は、
日常の出来事をひと続きのものとして覚えているわけではありません。
「台所にいたとき」
「リビングに移動したあと」
「寝室に入ったあと」
というように、
場面ごとに区切って記憶を整理していると考えられています。
この場面の区切りを、
心理学では イベント境界 と呼ぶことがあります。
ドアを通って別の部屋に入ることは、
脳にとって分かりやすいイベント境界になります。
つまり、ドアを通ることで、
脳が「ここから新しい場面」と判断しやすくなるのです。
実際に、ドアを通って別の場所へ移動すると、以前の場所で見たり持ったりした物の記憶が正確でなくなりやすいことが研究で報告されています。
「何をしに来たか」は前の場面に置いてこられやすい
たとえば、リビングで
「ハサミを取りに行こう」
と思ったとします。
その目的を持ったまま、
別の部屋へ移動します。
ところが、部屋に入った瞬間、
脳は新しい景色や物に注意を向けます。
机。
棚。
照明。
部屋の雰囲気。
新しい場面の情報が入ってくることで、
さっきまでの目的が思い出しにくくなることがあります。
つまり、
「ハサミを取りに行く」という目的が、
前の部屋の記憶として扱われやすくなるのです。
このように、ドアや空間の境界は、記憶の中で出来事を分ける手がかりになり、物の位置や順番の記憶にも影響することが示されています。
忘れたのは記憶力が悪いからではない
部屋に入った瞬間に目的を忘れると、
「自分って記憶力が悪いのかな」
と思うかもしれません。
でも、これは多くの人に起こる身近な現象です。
むしろ、脳が場面ごとに情報を整理しているからこそ、
起こりやすい忘れ方とも言えます。
脳にとって、
場所の変化は大きな区切りです。
新しい場所に入ると、
今いる環境に注意を向ける必要があります。
そのため、
少し前の目的や考えが一時的に取り出しにくくなることがあるのです。
疲れているときほど起こりやすいこともある
ドアウェイ効果は、
誰にでも起こることがあります。
ただ、疲れているときや、
いろいろなことを同時に考えているときは、
より起こりやすく感じるかもしれません。
たとえば、
- 料理中に別の物を取りに行く
- 掃除中に別の部屋へ移動する
- スマホを見ながら何かをしようとする
- 仕事や家事で頭がいっぱいになっている
こうしたときは、
もともと頭の中に情報が多く入っています。
そこに場所の変化が加わると、
直前の目的が埋もれやすくなります。
ただし、研究によっては「ドアを通れば必ず忘れる」という単純な話ではなく、注意の状態や課題の内容によって効果が変わる可能性も示されています。
思い出したいときは、元の場所に戻るといい?
「何しに来たんだっけ?」
と思ったときは、
一度もとの場所に戻ると思い出しやすいことがあります。
これは、最初に目的を思いついた場所に戻ることで、
そのときの記憶の手がかりが戻るからです。
たとえば、
リビングで何かを取りに行こうと思ったなら、
リビングに戻る。
台所で何かを思いついたなら、
台所に戻る。
すると、
「あ、そうだ。これを取りに来たんだった」
と思い出しやすくなることがあります。
もちろん毎回うまくいくわけではありませんが、
日常で試しやすい方法です。
忘れにくくするコツ
部屋を移動した瞬間に忘れやすい人は、
少しだけ工夫すると対策しやすくなります。
たとえば、
- 取りに行く物を声に出す
- メモする
- スマホにメモする
- 移動中に別のことを考えすぎない
- 目的の物をイメージしながら移動する
特に、
「ハサミ、ハサミ」
「充電器を取りに行く」
のように声に出すと、
目的を保ちやすくなります。
脳の中だけで覚えておくより、
言葉にして外に出すことで、
思い出す手がかりが増えるからです。
まとめ
部屋に入った瞬間、
「何しに来たんだっけ?」
と忘れてしまうことがあります。
これは、
ドアウェイ効果 と呼ばれることがあります。
人の脳は、場所が変わると、
「場面が切り替わった」と判断し、
直前の目的を思い出しにくくなることがあります。
つまり、忘れたのは、
ぼーっとしていたからとは限りません。
脳が新しい場面に切り替わったサインかもしれないのです。
もし忘れてしまったら、
一度もとの場所に戻ったり、
目的を声に出したりしてみると、
思い出しやすくなるかもしれません。
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